万年筆博士　オランダ水牛角×エボナイト　1995年製

「鳥取に有名な万年筆の店がある」という情報を聞きつけ、1994年に店を訪れました。筆記用具にも関心が向かった時期でした。公私とも万年筆を頻繁に使用していたので「後世に残せる逸品を誂えよう」と考えました。 まずはカウンセリングを受けるための予約をしてから店舗兼工房を訪れました。店の万年筆で握り、筆圧、筆跡、書き癖などをチェックしてもらった後、素材、デザインなどを店主（？）と相談しながら選びました。オランダ水牛角の模様と色味がとても気に入ったので、胴体だけでは飽き足らずキャップにも採用しました。印鑑の材料のような水牛の角の模様を１点ずつ眺めながら、胴体とキャップの組み合わせをあれこれ悩みました。 オランダ水牛角を２本使用したことで、社会人２年目の小遣いでは買えない価格になりました。明るい将来を夢見た青年だからこそ、こんな無謀（贅沢）なオーダーができたと思います。 ８ヶ月待って完成しました。お店に商品を取りに行き、その場で試し書きをしました。驚くほど滑らかな書き味です。いつもは下手な字を恥ずかしく感じていますが、この万年筆で書くと上手になったと錯覚します。 大切な便りを出す時に限り、本品を使用しました。落下や固い物にぶつけた記憶がないので、目視や触手で確認できるレベルの傷はありません。これまでカートリッジを３本交換、便箋20枚程度書いた記憶があります。気になる箇所をあげるとすると、キャップの内側に漏れたインクでできた黒い染み（写真8枚目）があります。 制作者は2004年に厚生労働大臣表彰「現代の名工」を受章された田中晴美氏だということを現店主から伺いました。田中氏のオーダーをストップ（引退宣言）した2010年には、注文から３年待ちを超えたそうです。 名工が制作した工芸品です。末永くご愛用いただける方にお譲りできたら有り難いです。 （素材） キャップ：オランダ水牛角、レッド＆ブラックエボナイト 胴　　軸：オランダ水牛角、レッド＆ブラックエボナイト 首　　軸：レッド＆ブラックエボナイト ペン先　：セーラーＯＥＭ１４金１０号 他金属部：ゴールドプレート （スペック） 字の太さ：細字 カートリッジインク：パイロット ※本人確認済バッジ未取得の方へはお譲りいたしかねます #PEN #MANNENHITSU #HAKASE